研究者の声:オピニオン



2017年3月26日更新

オープンアクセスのジャーナルの運営は儲かる?


近年、オープンアクセスの論文を掲載する雑誌が増えてきています。そのなかで、PLoS Oneはオープンアクセスのジャーナルとして成功している雑誌の代表的なものでしょう。

このたび、PLoS Oneが「PLOS ONE 2016 Reviewer and Editorial Board Thank You」とのタイトルの記事で、2016年にPLoS Oneが発表した論文数とそれらを編集・査読した研究者を公開しています。

その記事によると、2016年にPLoS Oneに掲載された論文数は22,000報以上で、それらは全て厳格な査読プロセスを通過したものとなっています。ちなみに、投稿数は50,000に近いとのことなので、PLoS One全体の採択率はザックリとした計算で45%くらいと考えられます。

また、それら投稿された論文原稿の査読プロセスに関わった編集者(academic and guest editors)は5,000人以上で、70,000人に達しそうな数の査読者(reviewer)がそれら原稿の査読を行ったようです。

さて、オープンアクセスは閲覧者が誰でも無料で自由に掲載論文を読めるという特徴がありますが、それ以外の特徴として、オープンアクセスの論文は論文執筆者(著者)が掲載料を払う仕組みがあげられると思います。

PLoS Oneの掲載料は、こちらのページに記載されているように、1報あたりUS$1,495です。そのため、ザックリと計算すると(22,000報 x US$1,500/報)、PLoS Oneは2016年の1年間に著者たちから合計でUS$33,000,000(日本円にして35億円くらい)の掲載料を集めたことになります。

ちなみに、PLoS Oneのacademic editor, guest editor, reviewerには原稿の編集および査読の報酬は支払わないとのことを複数の関係者から聞いたことがあります。

PLoS Oneはオープンアクセスの論文を数多く掲載し、それら論文を多くの人に無料で読めるプラットホームを提供したという素晴らしい功績があります。そのため、その功績にはそれ相応の報酬が支払われるべきかと思います。

ただ、それにしても1年間にUS$33,000,000のお金が一つの雑誌に流れるというのは、単純に額が大きいだけに驚くべきことだなと個人的には思います。皆様はこの数字を見てどのような感想をお持ちになりましたか?


執筆者:先日PLoS Oneにrejectされた人


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