教授と僕の研究人生相談所



第76回(更新日:2017年12月30日)

教授が溜まりまくった質問に答えます 2ページ目/全2ページ

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教授「そうか。ま、共著者の論文が意味がないとは言わんよ。だが、バイオ系の研究者として飯を食いたいなら、自分のラボを持つまでは年に1報以上の筆頭著者の論文が、ラボを持ってからは年に複数の責任著者(corresponding author)の論文が必要だな」

僕「本当ですか!?」

教授「ホントウデスヨ」

僕「でも教授、論文ってそんなに簡単に出ないですよね」

教授「デナイデスヨ」

僕「それに、ちっちゃい論文ばかり出しても意味がないって言う人もいますよね?」

教授「イマスヨ」

僕「数年に1報ずつ大きいの出せば十分。小さいのはいらない。大きい論文なんて毎年出せるようなもんじゃないし、毎年複数論文書いてる奴なんてどうでもいい内容の研究しかしていない研究者だから意味がない、って言う大御所研究者もいるんですよね」

教授「ソレ ボウロン ネ」

僕「暴論?」

教授「ああ、暴論だね」

僕「あ、急に元に戻るんですね」

教授「アナタ カタコト スキ?」

僕「いえ、元に戻ってください」

教授「大きい論文を数年に1報ずつ出せば十分っていうのは昔の話だな。俺の周りにもそういうことを言う奴はいるよ。今の若いもんはすぐに論文になるような研究しかしないってね。だがな、時代が違うんだよ。そんなノンビリと腰を据えて研究なんてしていたら、今の若い奴らはあっという間に無職になるか、よくてワーキングプアだ。俺は自他ともに認める老害だが、数年に大きいのを1報で十分とか言ってる奴がいたら、それは老害だと思えばいい。そんなことをしていても幸せな生活はおくれんよ。というより、バイオの研究者なんてやってたら幸せな生活はおくれない」

僕「・・・」

教授「ワタシノ シュチョウモ ボウロン デスケドネ」

僕「・・・」

教授「ツギノ シツモン イクヨ」

僕「・・・はい。えっと、一般に女性はバイオ系の研究者になると損しますか?って質問です。某国立大学の大学院の一年生の女性からです」

教授「一般にって言われも、質問内容が曖昧で条件の幅が広すぎて何とも言えん。だが、この相談者はバイオ系の研究者にならない方がいいんじゃないか?」

僕「どうしてですか?」

教授「あんまりオツ・・(途中で遮られる)」

僕「いえ、最後まで言わなくても結構です。読者をあまりディスるのはよくないので。次に行きます。教授と僕は同棲してるんですか?って質問です」

教授「シテナイヨ!」

僕「次の質問です。教授は僕に特別な感情を持っていますか?」

教授「モッテイナイヨ!」

僕「次の質問です。教授は僕とだけ飲みにいっていて他の学生がかわいそうだと思います。えこひいきしてるんですか?」

教授「他の学生とも飲みに行ってるし、なんだ、この一連の質問は。意味がわからん」

僕「いっとき、これに類する質問がよく来たんですよね。ネットの一部で僕らの関係について盛り上がったんじゃないですか?」

教授「そうか。で、他にも相談はあるのか?」

僕「これはちょっとヘビーな内容です。40代の国内男性ポスドクさんからですが、祝日も週末もなく、連日遅くまで実験している生活を送っていたところ、ある日帰宅すると奥様が子供を連れて実家に帰ってしまっていたというようなんです。特定を避けるため詳しい事情は説明しませんが、メールには色々と状況が書かれています。で、ぜひ教授にアドバイスをしてほしいということなんですが・・・」

教授「本当にヘビーな内容だな」

僕「はい」

教授「ま、一度でも結婚して子供が出来たんなら、君よりもずっと幸せな人生なんじゃないか。君なんか明日からのクリスマス連休も一人でムフフ動画漬けだろ。だから、君が『僕より幸せだから元気だして生きていきましょう!』って言えばいいんじゃないか?」

僕「何の解決にもなってませんし、僕がより寂しい気持ちになるだけです」

教授「こんな問題、解決なんてできんよ。研究者やめますか?それとも家族やめますか?って感じだろ」

僕「たしかに」

教授「そもそも自分の職業として研究者なんて選んだ相談者が悪い。そして、40手前になってもバイオ系ポスドクをしているような奴と結婚した相談者の妻も悪い。ただ、子供に罪はない。子供にとって片親というのは人生のハードルがかなり高くなる。無能な夫婦であったとしても、子供への愛情があるだけで子供の人生はかなり違ったものになる。相談者および相談者の妻は、くだらん意地やプライドにこだわらず、子供の人生ならびに自分たちの人生の幸せを第一に考えるべきだ。研究者なんてやめてしまっても幸せに生けていける。むしろ、研究者なんてやめてしまった方が人として充実した人生になるかもしれん。ここに結婚もできない奴がいるが、そんなのに比べれば、この相談者はまだまだ幸せだ」

僕「・・・」

教授「で、他にも質問はあるのか?」

僕「僕の心が粉々に砕けてしまったので、最後に今年の振り返りと来年の見通しなんかをお願いします」

教授「バイオの研究はもう飽きた。以上」

僕「今年最後のまとめが、そんなのでいいんですか?」

教授「イインデスヨ。デハ マタ ライネン オアイシマショウ」

僕「・・・」

執筆者:「尊敬すべき教授」と「その愛すべき学生」

*このコーナーでは「教授」への質問を大募集しています。質問内容はinfo@biomedcircus.comまでお願いいたします(役職・学年、研究分野、性別等、差し支えない程度で教えていただければ「教授」が質問に答えやすくなると思います)。

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